2014年9月15日月曜日

『人口の世界史』マッシモ リヴィ‐バッチ

わが国の最大の政策課題は、少子高齢化対策、即ち人口問題。

「人間の歴史を通して、人口は繁栄、安定、安全と同義だった。」

「第1章 人口成長の空間と戦略」
3つの大きな人口サイクル(人類の登場から新石器時代へ、新石器時代から産業革命へ、産業革命から現在まで)が示される。

「第2章 人口成長:選択と制約の間で」
狩猟採集から農業への移行に伴い、死亡率は上昇(栄養と疾病両面で)したが出生率がそれを上回ったという指摘がなされる。そして、ペストやインディオの悲劇など人口に係る歴史的な大事件が語られる。

「第3章 土地・労働・人口」
収穫逓減を論じたマルサスの名著「人口論」から始まり、エステル・ボースルプなどの「人口増加は発展を促進する」という相譲らない2つの立場を紹介する。この1万年の歴史を見ると収穫逓増に分があるように見えるが、それはまだ資源の限界に到達していないだけの話かもしれない。「時間をどうとるかが重要」だと指摘する。

「第4章 秩序と効率をめざして:近現代ヨーロッパと先進国の人口学」
人口転換(多出生・多死亡の不経済から少出生・少死亡の節約へ)が語られる。19世紀から20世紀にかけて先進国は70年~185年ほどをかけて人口転換を終了した。経済成長は平均寿命を伸長させたが、「ある点を超えると、財貨の供給はひとの生存に対してほとんどなんの影響も及ぼさない」。なお、ヨーロッパの人口転換は新大陸への移民と不可分の関係にあることを忘れてはならない。人口増加と経済成長の関係については、「1820年から2000年の間に英仏独米の人口は5.6倍になり、GDPは約107倍になった。したがって1人当たりの生産は19倍になった」。

「第5章 貧困国の人口」
「1900年には約10億人だった貧困国の人口は2000年までに5倍に膨れあがっていた」。爆発する人口、家族計画にいかに対処するか。本書ではインドと中国の事例と共に、架空の国ファティリアとステリリアの例があげられる。人口増加と経済発展の関係は実証が難しいが、1984年、メキシコで開催された国連会議で、世界各国は人口成長を制御すべきものだと確認した。

「第6章 将来展望」
著者は、楽観論者と破局論者のいずれにも組しないと述べる。国連推計では2050年の世界の人口は93億人を突破する。人口の圧力を緩和する意味では自由な国際人口移動(つまり移民政策)が重要である。著者は、「人口成長はもはや中立要因でない、成長の減速で多くの問題が解決しやすくなる、地球の生態系を脅かす人間の脅威はかつてないほどに強まっている、したがって人口増加の抑制は必要だ」と説く。

世界中の一流大学の授業を自宅で学習

最近では、世界中の有名大学の講義をネットで受けることができる。

「KHANACADEMIY」
 マイクロソフト創業者のビル・ゲイツとメリンダ夫人も支援している教育サービス。

「UDACITY」
 すぐに役に立つ内容を教え、社会的に有効な修了証書を発行するオンライン学校。

「edX」
 米ハーバード大学と米マサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で立ち上げた無料教育サービス。ウェブ上での講義において一定以上の成績を収めると、大学側から正式な科目修了認定を受けられる。

「ACADEMIC EARTH」
 ハーバード大学、MIT、米スタンフォード大学、米コロンビア大学など米国一流大学の講義を無料で視聴可能。

「Coursera」
 世界中の大学がネットで講義を発信しているプラットフォーム。東大も参加している。

中国の8月鉱工業生産

中国国家統計局が13日に発表した8月の中国の鉱工業生産は前年同月比6.9%増となり、伸び率は世界的な金融危機に見舞われた2008年以来約6年ぶりの低水準にとどまった。増加傾向ではあるが、景気がピークアウトするのではないかとの懸念が高まっている。

○ファクト
* 鉱工業生産は前年同月比6.9%増。市場予想は8.8%

* 小売売上高は前年比11.9%増、伸び率縮小。

* 1─8月の固定資産投資も16.5%増に鈍化

* 1─8月の不動産投資は前年同期比13.2%増。1─7月は13.7%増だった。

* 1─8月の不動産販売額は同8.9%減。1─7月の8.2%減から減少幅が拡大した。

* 発電量は前年同月比2.2%減。

○よ
* ハードランディングへの懸念

WEBニュースより

2014年9月10日水曜日

『日暮硯』 恩田木工

『日暮硯』は、真田幸弘が藩主の時代、松代藩の藩政改革を担った恩田木工民親(おんだもくたみちか)の業績・仁政の物語を記したもの。

仁政」とは「情け深い政治」という意味。「葉隠」 の田代陣基が遺したのと同様に、後年に馬場正方という藩士が恩田木工民親の仁政の物語を書き遺したもの。馬場正方は恩田木工が信心していた上人から、恩田木工の素晴らしい政治姿勢の話を聞き、大変に感動し、是非後世に遺したいと思って書き綴った1冊の物語。

●経緯
恩田木工は、享保2年(1717)に恩田民清の子として生まれた。

恩田家は、松代藩の家老の家柄であった。木工も宝暦4年(1754)、30代後半の若さで家老職に任じられている。この時期の松代藩は、度重なる幕府からの課役や水害など天災のために莫大な出費を強いられ、土地も荒廃してしまっていた。

前藩主・真田信安は、断固たる決意をもって藩政改革を断行しょうとしたが、担当者の原八郎五郎、さらには田村半右衛門が立て続けに領民や足軽たちの強い抵抗を受けて失脚、改革は無残な失敗に終わっていた。結果、幕府に莫大な借金をしたものの、松代藩は完全に立ち行かない状況に陥ってしまっていた。

まだ10代だった藩主・幸弘は、有能だと噂の高かった恩田木工を抜擢し、彼に藩政改革を命じた。

2度続けて失敗している改革、3度目の正直。

木工はまず、大きな2つの決断を下した。

 「ウソをつかないこと」
 「いったん命じたことは、決して撤回しないこと」

そして、この2つを貫徹するために命を捨てる覚悟を決め、改革の足手まといとなる家族や家来を義絶しようとした。

改革にあたって木工は、諸役人だけでなく、領民すべてに自分の政策を事細かに説明し、彼らの同意を取りつけている。木工が大切にしたのは「信」であった。自分に対する信頼がなければ、人々はついてこないと考えたのだ。ゆえにこうした措置をとり、同時に自分は粗食に甘んじ、その身を強く律したのだった。

こうしてはじまった松代藩の宝暦改革であったが、他藩のそれとは大いに様相が異なった。ふつう改革といえば、徹底的な倹約を領内に命じ、農民への増税や武士への給与カットで財政を再建するのが一般的。ところが木工は、一切増税はせず、逆に農民への諸役を廃止し、「今後は年貢の先約や上納金は求めない」と約束、「役人に対する不満を書面にしたためて差し出せ」と申し渡したのである。農民たちは狂喜し、みずから改革に協力させる体制をつくり上げることに成功した。さらに驚くべきは、不正を告発され戦々恐々としている悪徳役人たちも自分の同志としたことだろう。罪を許されたことに大いに感謝した彼らは、以後、木工の忠実な手足となって改革に尽力していくことになった。

●教訓
いかにすれば部下は動き、仕事が成功するのか。この本にはそうした処世術が数多く含まれている。

Webより

2014年9月7日日曜日

米GEの家電事業、エレクトロラックスが買収目指し交渉

家電事業部の売却計画を発表した。

世界2位の家電メーカー、スウェーデンのエレクトロラックス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収する方向で交渉を行っていることを明らかにした。エレクトロラックスは声明で、GEと協議を行っていることを確認したうえで、「何ら合意には至っていない」とした。
GEの買収を巡っては新興企業のクワーキーとの交渉も噂されている。

関係筋によると、GEの家電事業の価値は20億─25億ドルとみられている。

今年6月にフランスの自尊心で呼ばれるアルストムの発電設備部門を買収したばかり。
100年の伝統を持つ事業部だが、収益性が落ちるとすぐに未練なく外すことにしたのだ。
GEは産業向けの分野に注力する中、再び家電事業の売却を目指すことを決めた。クワーキーは事業の過半数株式取得に向け、プライベートエクイティ(PE)企業と連携するという。