『フォークの歯はなぜ四本になったか』 ヘンリー・ペトロスキー 平凡社

「形は機能にしたがう」への論駁論。（著者はそういう言い方を否定している）
では何に従うのか？

「形は失敗にしたがう」

モノは、先行するモノの欠点（失敗）を改良することによって進化していると説く。


たとえば目の前のフォーク。

17世紀までイギリスでは目の前の肉を手でちぎり合って食べていた。
それがイタリアのフォーク文化に触れ輸入されてきた。イタリアでは「女々しいもの」と揶揄されていたらしいが、いつの間にかそれが礼儀正しい方法として認識されるようになってきた。女性らしい発想が社会文化になったというのも面白い。

歯の本数については、最初は2本だった歯だが、回転したり、ずり落ちたりするという理由から今の4本になったのだそうだ。（失敗して進化した）。では歯が3本でもよさそうだが、4本がちょうど具合が良かったらしい。５，６本では大きすぎる。（理由は特に書いていない）

また、フォークが登場すると、逆フィードバックで食卓に与えた。フォークの歯が増えたことにより、フォークを突き刺す役割から「乗せて食べる」道具として使い出すようになる。さらに、フォークをナイフのように扱い（煮野菜を切るとか）、ナイフが食卓から駆逐されはじたのだそうだ。

先に物があって文化が作られる。人は物（情報）を編集して新しい文化に仕上げていく。日本の得意分野なのではなかろうか。