『犬が星見た』ロシア旅行 武田百合子 中公文庫
1925年 神奈川県横浜市生まれ
旧制高女卒。武田泰淳が夫。
夫の没後『富士日記』により、田村俊子賞を受賞。
書き出しはまさに旅行記。日記帳。特徴があるのは日々綴られる食事の内容。
乗船した船内での最初の食事。朝昼夜とどんな料理を食べ、夫泰淳がどのように振舞ったのか。自分の着た物の描写、風景の描写、 主人や友人竹内氏の言動、は具体的かつ繊細な言葉で綴られる。伴侶としてならず作家としての観察の鋭さが現れる。
しかも、その態度はあくまでも夫に連れて行ってもらっているという控えめさ。
こんな事を言われても、どこふく風。まさにそのとおりと受け流し、犬ならではの夜景の観察シーンが見せ場にもなっている。
解説には色川武夫の言葉が記されているが、「文は人なり」とその言葉のどおり、この作品はこの作家ならではの文体に溢れている。
1925年 神奈川県横浜市生まれ
旧制高女卒。武田泰淳が夫。
夫の没後『富士日記』により、田村俊子賞を受賞。
生涯最後の旅を予感している夫武田泰淳とその友人竹内好のロシアへの旅に同行して、星に驚く犬のような心と天真爛漫な目とをもって、旅中の出来事・風物を克明に伸びやかに綴り、二人の文学者の旅の肖像を、屈託ない穏やかさで捉える紀行。
昭和44年6月10日 晴
朝7時半、毎日新聞社の高瀬さんが迎えに来て下さる。
書き出しはまさに旅行記。日記帳。特徴があるのは日々綴られる食事の内容。
○ソーセージ2本にハムの燻製、野菜の付け合せ。
乗船した船内での最初の食事。朝昼夜とどんな料理を食べ、夫泰淳がどのように振舞ったのか。自分の着た物の描写、風景の描写、 主人や友人竹内氏の言動、は具体的かつ繊細な言葉で綴られる。伴侶としてならず作家としての観察の鋭さが現れる。
しかも、その態度はあくまでも夫に連れて行ってもらっているという控えめさ。
「百合子は犬だよ。どこへ行っても、臆面もなく、ワン、なんていってるんだ。」
こんな事を言われても、どこふく風。まさにそのとおりと受け流し、犬ならではの夜景の観察シーンが見せ場にもなっている。
解説には色川武夫の言葉が記されているが、「文は人なり」とその言葉のどおり、この作品はこの作家ならではの文体に溢れている。
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