日本の家計貯蓄率

貯蓄率低下
・日本の家計貯蓄率は1970年代にあった20%以上の水準から趨勢的に低下し、2010年には2.5%になった。
これまでの家計貯蓄率の低下は高齢化が要因であるとされてきた。しかし異なる要因があるとみられる。事実、65 歳以上人口比率と家計貯蓄率の相関係数は-0.937 と非常に高く、人口増加率と家計貯蓄率の相関係数も0.825 であり、家計貯蓄率と人口動態の関係が強い。そのもう一つの要因とはIT バブル崩壊と金融システム不安による景気悪化で家計所得が減少し、貯蓄率低下に影響した事。

要因
・高齢化も家計貯蓄率に影響を及ぼす。60歳代以上の高齢者世帯の増加は、家計貯蓄率の低下に大きく響いている。特に高齢者の無職世帯が増加していることも大きい。これら高齢無職世帯は公的年金給付水準の低下などにより、貯蓄取り崩しで支出を賄っていると見られるからである。
・高齢化の進展により、今後も高齢者の世帯、その中でも無職世帯の増加が予想されるため、今後も家計貯蓄率の低下は続くと予想される。

・人口動態要因である高齢化の影響のほか、無職世帯の増加が影響している。このことは、住宅バブルの形成により借入金を増加させ、消費水準が上がって家計貯蓄率の低下が起きた米国とは様相を異にする。高齢化の進展により、世帯主が高齢者の世帯は増加してきている。さらにその中でも無職世帯の比率は高まる傾向にある。高齢世帯は収入が限られる一方、金利も低水準で長期化しているために、利子収入も大きくはない。さらに、公的年金給付水準の低下や支給開始年齢の引き上げが起きていることから、高齢世帯の貯蓄の取り崩しは今後も続く可能性が高いと考えられる。


「国民経済計算」によると2002年ごろからの戦後最長の景気においても、リーマンショック後の不景気においても家計所得(給与)は減少してい る。好景気であってさえも。これは一概に企業のコスト削減によるものだが、その実態は若年者への分配減少、労働分配率の低下によると考えられる。

結果として貯蓄率が低下しているのではないか。

大和総研のレポート参照

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