学名:Citrus tachibana
日本では固有のカンキツ類で、実より花や常緑の葉が注目された。マツなどと同様、常緑が「永遠」を喩えるということで喜ばれた。
『記紀神話』には、垂仁天皇が田道間守を常世の国に遣わして「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)・非時香木実(時じくの香の木の実)」と呼ばれる不老不死の力を持った(永遠の命をもたらす)霊薬を持ち帰らせたという話が記されている。『古事記』の本文では非時香菓を「是今橘也」(これ今の橘なり)とする由来から京都御所紫宸殿では「右近橘、左近桜」として橘が植えられている。ただし、実際に『古事記』に登場するものが橘そのものであるかについてはわかっていない。
文化勲章は元々桜であったが昭和天皇が「文化は永遠である」と言い、咲いて散る桜ではなく、常緑の橘を勲章にしたという。
【南橘北枳】なんきつほっき
人は住む環境によって、善悪どちらにも変わることのたとえ。
江南の橘(たちばな)を江北に移植すれば食べられない枳(からたち)に変わることから
『橘は実さへ花さへその葉さへ 枝に霜降れどいや常葉の木』
聖武天皇 巻六 1009
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