シュンペーター

ヨーゼフ・アーロイス・シュンペーター(1883年2 月8日 - 1950年1月 8日)
オーストリア出身の経済学者。企業者の行う不断のイノベーション(革新)が経済を変動させるという理論を構築した。

シュンペーターはワルラス流の一般均衡理論を重視した。
彼の理論にでは、均衡状態はイノベーションによって不断にシフトしており、イノベーションが加わらないと経済は均衡状態に陥ってゆく。均衡では企業者利潤は消滅し利子もまたゼロになる。
市場均衡を最適配分とみる古典派の見解と異なり、シュンペーターにとって均衡は沈滞である。

イノベーションはつまり新結合である。(新発明ではない!)

イノベーションとは、経済活動において旧方式から飛躍して新方式を導入することである。日本語では技術革新と訳されることがあるが、イノベーションは技術の分野に留まらない。シュンペーターはイノベーションとして以下の5類型を提示した。

1. 新しい財貨の生産
2. 新しい生産方法の導入
3. 新しい販売先の開拓
4. 新しい仕入先の獲得
5. 新しい組織の実現

イノベーションの実行者を企業者(アントレプレナー)と呼ぶ。この意味における企業者は、一定のルーチンをこなすだけの経営管理者(土地や労働を結合する)ではなく、生産要素を全く新たな組み合わせで結合し(新結合)、新たなビジネスを創造する者として重視される。起業者。

シュンペーターは銀行の機能を大分持ち上げている。起業者が銀行から信用貸出を受け、それに伴い銀行システムで通貨が創造されるという信用創造の過程を重視した。というかイノベーションの全権を担っていると考えたのだ。古典派の貨幣ヴェール観では貨幣や信用を実体経済を包むだけの名目上の存在とみなしたが、彼の理論によると「銀行家は単に購買力という商品の仲介商人なのではなく、またこれを第一義とするのではなく、なによりもこの商品の生産者であるとみなされる。

起業者が銀行組織の信用供与(銀行からの借入)を受けてイノベーションを実行すると経済は撹乱されるが、その不均衡の拡大こそが好況の過程であるとシュンペーターは考えた。一方で、イノベーションがもたらした新しい状況において独占利潤を手にした先行企業に後続企業が追従して経済全体が対応し、信用収縮(銀行への返済)により徐々に均衡化していく過程を不況と考えた。

著書:
『理論経済学の本質と主要内容』
『経済発展の理論』
『景気循環の理論』

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