私腹を肥やす

公の地位や立場を利用して、自分の財産を殖やす。漢字の「公」は、ものごとを個別に細かく分け、回りから見えなくした様をあらわす「私」の旁の部分「厶」に、入口を開けて包み隠さず明らかにすることをあらわす「八」を組み合わせた会意文字である。また、一部に偏らないという意味を含む。このことから「公平」という熟語を生ずる。個々人の「私」に対する全体としての「公」は、のちに転じて国家を指すようになった。国家の官職に就いている士を公士といったり、国家に属する民を公民といったりするようになった。さらに、封建制のもとでは国家の支配者である君(君主)が国家を体現する存在であることから、君のことを公という用法が生じた。「王」の称号をもつ君は天子のみであったから、春秋時代までは周以外の国の君は公とのみ称した。天子である王(のちには皇帝)も君であるから公であり、天子の家である朝廷を公上と尊称したり公家と呼んだりすることができる。

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