多様体

多様体(manifold)とは、局所的にユークリッド空間とみなせるような図形のことである。多様体上には好きなところに局所的に好きなだけ座標を設定して地球上に様々な座標軸・評価軸を描き込むことができるともいえる。
多様体に座標を描くという作業は地球上の地図を作る作業に似ている。これは伊能忠敬であり地図男なのだ。地図の上の点=地球上の点、加えて思いのままに緯線や経線を地図に描き込むことによって、地図に描いてある地域の様子が分かりやすくなる。見方を提示する方法、多様な見方もここから生まれてくる。いわばそれはフィルターの役割を担っているのだ。
座標の無い地球上の様子は、人間が作った座標のある地図と対応させることによって非常に把握しやすくなる。地球は球であり、世界地図を一枚の平面的な地図におさめようとすれば、南極大陸が肥大化したり、地図の端の方では一枚の地図の中に同じ地点が描き込まれたりする。世界地図をいくつかの小さな地図に分割すると、こういった奇妙なことはある程度回避できる。そして隣り合った地図の繋がりをそれぞれの地図に同じ地域を含めることで表現すればよい。こうすることによって異なる地図同士では重複する部分が出てきてしまうものの、一枚の地図(各地域の地図)の中に同じ地域が2箇所以上描かれる事はなくなる。小さな地図の集まりは局所座標系の集合。なんだか人間世界・各個人の個性みたいだ。
そしてこの小さな地図の集まりによって全体を構成すると一体どのような大きな地図ができるのだろうか?ホッブスのリヴァイアサンは多様体を社会において設計したものかもしれない。位相幾何学では、球、球面、トーラス、円、多角形、多面体、フラクタルなどがキーワード。

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