不実な美女か 貞淑な醜女か

うん。面白いですね。
と一言で片付けてしまうのは勿体ないので。書き残し。
タイトルからすると本の中味は男女の話かと思い勝ちだが、実は違って、ロシア語通訳者の米原万理さんの実体験+人の体験を積み重ねて、日本の文化ってモノの側面を見る内容。
通訳者がいかに時間の女神から見放されているかという話から、多言語間の文脈の違いによって、通訳者は非常に困難かつ面白い体験をしているのだという話。
小国家から大国家まで区別無く持つ母国言語がその国の財産でありアイデンティティであり続ける事の重要性が先の大戦から得られた教訓であるって言われると日本語を学ぶ事って大切だろうと勇気付けられるのである。特に外国語を学んでいる身柄上、自国の言葉以上に外国語を身につける事なんて言われてしまうと、頭をハンマーで殴られたような感動を覚える。
思うに、米原さんは日本と諸外国を繋ぐコミュニケーションの役割に非常に感動し、その仕事に精魂をつぎ込まれている。本書の内容は面白可笑しく描かれてはいるものの、日本における教育問題や、鎖国時代から抜け出せていない至近距離的コミュニケーション、日本の存在についての問題について諭しが入っている。

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