不動産価格評価

▼収益還元法
不動産価格の評価方法の一つ。不動産の収益性に着目して、その不動産から将来得られるべき価値を現在価値に割引して評価する。さらに直接還元法とDCF法に分けられる。この割引された価格が現在の不動産価値(割引現在価値)となる。不動産鑑定においては 2002 年の不動産鑑定基準の改訂の際に正式にDCF法が採用されるに至っている。

・直接還元法は、1期間の純収益を還元利回りで還元して価格を求めるものである。
・DCF法は、連続する複数の期間の純収益(家賃等)と復帰価格(将来の転売価格等)を現在価値に割引し、合計して価格を求めるものである。手法は緻密であるが将来の収入・支出の額・時期や復帰価格を予測する精度が評価額に大きく反映されるので、予測の精度を上げることや予測の根拠が重要である。DCF方で無限時間に収束させれば直接還元法か。

収益価格(不動産価格)=毎期の純収益の現在価値の合計+復帰価格の現在価値


▼DCF(Discounted Cash Flow)法
収益資産の価値を評価する方法の1つ。株式や不動産その他多様な投資プロジェクトの価値を算出する場合に用いられる。

割引現在価値
現在から将来にわたる利益を積算する場合、それらを単純に足すだけでは問題が生じてしまう。なぜなら、1 年後の X 円と現在の X 円は、同価値ではないから。

たとえば、現在の X 円は、利子率 r のもとでは、1 年後に (1 + r)X 円に増えている。つまり、現在の X 円と同価値なのは、1 年後の (1 + r)X 円であることがわかる。

この関係を利用すると、1 年後の Y 円を、現在の価値に換算するには、Y = (1 + r)X とおくことで、X = Y/(1 + r) であると計算される。

結論として、1 期間の利子率を r としたとき、1 年後の Y 円を現在の価値に直すと、Y/(1 + r) 円になる。このように、将来 (1 年後) の価値を現在の価値に変換するとき、このような (1 + 当該期間の利子率) で割引いた価値で表示したものを、割引現在価値 (discounted present value) という。この操作を、何年にも渡って繰り返し適用することで、遠い将来の価値を現在の価値に変換することができる。

<DCF法による収益価格Vの算定式>

V:収益価格、Vn:保有期間終了時の不動産売却価格
a:年度純収益、r:割引率、n:保有期間


▼計算例
中古で1000万円の物件があったとする。
月額家賃5万円、年額60万円、経費控除後45万円、10年後に200万円で売却するとする。
ネットで4.5%の利回り。r=1.0%とすると、a=45,n=10,r=0.02,Vn=200。
現在価値で、ネット家賃収益が426万円、売却価格が181万円。
合計で607万円。という事で割高。

では、n=50年とする(例えば持ち家を買って、ずっと住み続けるなど)
この場合の売却価格は0円とする。(資産価値がなくなってもよいとして、もしくは国に徴収される)
また毎月10万円の収益としよう。(年で120万円、10%費用控除して108万円。)
この場合の現在価値は、4233万円。
持ち家を購入するとする場合の目安。
なお毎月の家賃として10万円以下になる場合は現在価値も低くなるし、逆もしかり。

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